お彼岸について最近の人は「秋分の日」とか「春分の日」とかを思い出すことが多く、今ではすっかり私達の生活に馴染んでしまっているのですが、もともとこのお彼岸は仏教に由来する行事なのです。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言い、お彼岸を迎えるころには厳しかった暑さ寒さも和らぎ、私達はとてもいい季節を迎えます。このお彼岸は、国民の休日としては一日だけなのですが、仏教ではこの日を中心に前後一週間が大切な期間となります。お彼岸の「お中日」という言葉もここからきているのです。また中日は昼夜の時間が同じになる日のことであり、その前後3日間ずつ合せて7日間にお寺では彼岸会を行い、お檀家や信者さんは寺に参詣し、ご先祖の墓参りをしたり、それぞれ家庭ではお仏壇をきれいにし、その前でご先祖様に家族揃って日頃の感謝をする習慣になっています。
ところで、「彼岸」というのは悟りの世界のことを言い、この現世である「此岸(しがん)」に対する言葉です。つまり迷いや苦しみの世界から悟りの世界へと導いてくれる教えである、布施、持戒、精進、禅定、智慧の六つを実行し、それを守れば幸せになることができると言われております。
お彼岸をお迎えするには、まずお仏壇の清掃をし、仏具などの手入れも終えておきましょう。また花も季節のものをお供えします。そしてお彼岸の入りにはお団子を、中日にはおはぎやぼた餅を供え、明けの日にはまたお団子をお供えします。さらにお彼岸の期間中、お霊供膳やお菓子、果物などをお供し、ご先祖の供養をする習わしになっています。
ところで秋のお彼岸のころに群生して鮮やかな赤い色の花が咲きますが、彼岸花といいます。まさにお彼岸のころ決まって咲きますので「彼岸花」と命名されたのでしょうが、別名「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」ともいいます。お彼岸のころの透明感あふれる、すがすがしい季節に相応しい花とも言えます。