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御輿(神輿)について

御輿(神輿)御輿とは、神霊が渡御するときの乗物です。神輿とも書き、「神輿」は“しんよ”とも読む。奈良時代の749年(天平勝宝1)、東大寺大仏建立に際して上京した、宇佐八幡神の紫色の輿が記録上の初見である。

御輿(神輿)の原型は諸説あり確定していないが、天皇の乗物の鳳輦(ほうれん)との比較検討も必要であろう。種類は多様であるが、基本的には台、胴、屋根からなり、台に2本の棒を貫く。木製、黒漆塗りで四角、六角、八角などの胴に美麗な装飾をほどこし、屋根には鳳凰(ほうおう)または葱花(そうか)を飾ったものもある。

現在各地の神社にあるものは、室町時代以降の製作のものが多い。特殊なものとして、芋茎(ずいき)を中心とした野菜でつくられている京都の北野天満宮の芋茎みこしや、熊野那智大社の扇みこしなどがある。 平安時代から、御霊(ごりょう)信仰の隆盛とともに御輿(神輿)が多く用いられ、また延暦寺の僧兵が、日吉大社の神威の具現として御輿(神輿)を振り、京都にかつぎ出しての強訴が行われたことも著名である。

また天皇の輿や神事の御輿(神輿)を専門的にかつぐ駕輿丁(かよちょう)もいた。御輿(神輿)の普及は中世以降の神幸祭の一般化によるとされる。御輿(神輿)をわざと振り立てたり、2基以上の御輿(神輿)が喧嘩の形をとったりすることが多く、また御輿(神輿)を河海に入れる浜降(はまおり)祭や川降祭をしたり、京都の梢蹟園社のように御輿(神輿)を洗う行事もみられる。
参考資料:『世界大百科事典』

太鼓について

太鼓膜状の物質、主として動物の革を張りつめて弾力をもたせ、これを打って音を出す楽器の総称。
原始時代から諸民族の中に深く浸透していた楽器の一種であり、最古のものは前約2500年、シュメールの浮彫に見られる。現在に至るまで多くの地域で呪術信仰と密接に結びついており、神聖視されていて、材料の選択や製作過程に厳格な掟をもつ地域もある。アフリカの民俗の中では、月・実り・母などの女性的象徴、太陽・再生などの男性的象徴となっているほか、一個の人格と同様に扱われて食物や犠(いけにえ)がささげられたり、悪霊払いにも広く用いられている。世俗的な用途としては権力の象徴として戦場に持ち出され、管楽器とともに用いられて軍楽の基となり、純粋な楽器へと発展していったほか、情報伝達の具ともなった(トーキング・ドラム)。

膜鳴楽器としては、古くは“つづみ”という呼称が存在し、その語源には諸説あって定めがたいが、これに“鼓(皷)”の字を当てることが早くから行われた。考古学的には、埴輪の“太鼓を打つ人”(群馬県佐波郡出土)に見られるごとき膜鳴楽器の存在が考えられている。

しかし、中国文明との交流の結果、鼓類の一種である“大鼓(たいこ)”という呼称が定着するに及んで、日本の膜鳴楽器を、“つづみ”と“たいこ”とに区別するようになり、前者は、胴のくびれたもの、あるいはおもに桴(挟膜・ばち)を用いず手で打つものの総称として用い、それ以外のものを“たいこ”と総称しているが、その区別が必ずしも明確でない場合もある。日本の“たいこ”は、ほとんど桴で打奏される。

日本の太鼓類は、構造的には、胴の両端に2枚の革を当てて、紐で締める“締太鼓”の類と、胴の両端に革を直接張って鋲を打って、固定した“鋲打ち太鼓”に二分することができる。例外的に“団扇太鼓”のような一枚革のものもあるが、その例はきわめて少ない。太鼓類は、なんらかの台の上にのせるか、紐でつるすかするが、まれに手で握る柄の付いたものもあり、“団扇太鼓”は、その柄付太鼓の一種でもある。“締太鼓”には、さらに、その革に枠のあるものとないものとがある。また太鼓類全体を、胴の長さによって、長胴のものと短胴(平胴)のものとに分類することも可能である。

太鼓類を用いる音楽は、雅楽、能の囃子、歌舞伎の囃子、民俗芸能の囃子とあり、後2者においてはその種類も多い。ほかに、神道、仏教などの宗教においても、その行事の具として太鼓類も用い、また玩具としても用いられる。

そのほか、戦陣などで、法螺貝などとともに、軍楽器の一つとして用いられるものは、“陣太鼓(じんだいこ)”と称し、その種類もさまざまであって、奏法にもいろいろな流派があったが、現在では民俗芸能に遺存するのみである。街頭宣伝の“チンドン屋”が、鉦(かね)と組み合わせて用いる太鼓は、本来は平丸太鼓であったが、最近では救世軍の大太鼓などを転用することもある。
参考資料:『世界大百科事典』

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